辛亥革命によって清朝が崩壊した後、二度にわたって引き起こされた満蒙独立運動。これは二度とも失敗してしまったわけだが、もしもこの満蒙独立運動が成功していたならば、どうなっていただろうか? おそらくその後の歴史はまったく変わっていただろう。

以前、別稿で論じたことがあるが、日米戦争の原因はつきつめていえば満州をめぐる日米の対立にあった。そしてそうなったのはそこが辛亥革命後、権力の空白地帯となったからである。その結果、満州は日米中ソがしのぎをけずる角逐の場となってしまったのだ。

逆にいえばそこが権力の空白地帯になっていなかったならばーーたとえば辛亥革命後、すみやかに第二清朝、すなわち満州国が作られ、内戦の続く中国本土とは距離をおいたまま安定した政権が維持されていたならばーーその後、発生したような日米中ソによるあれほど複雑な対立は生じなかったであろう。そしてもしそうであれば日中および日米の対立も生じなかったはずである。さらにその必然的な結論として日中戦争も、また太平洋戦争も起こらなかったといえるであろう。

いまもそうであるが、満州は地政学上、きわめて重要な地域である。とりわけ当時の満州はいわば政治的ブラックホールとして周辺国をいやおうなしに巻き込んだ上、さらに反転して巨大な混乱を周辺にまき散らしたホワイトホールのような存在だったのである。

その意味で、満蒙独立運動は、東アジアにおける近現代史においてその後の流れを決定づける重要な分岐点になりそこなった事件といえる。そのせいであろうか。戦後GHQによる歴史の書き換え作業の中で、多くの史実がねじ曲げられたが、なかでも満蒙独立運動については徹底していた。まるでそんなものなどなかったかのようにほとんど抹殺されてしまったのである。

戦後生まれの人でそこそこ歴史を学んだ人であっても満蒙独立運動を知っている人がほとんどいないのもそのせいだ。連合国からすれば満蒙独立運動は歴史をねつ造する上でどうやってもねじ曲げることのできないーーすなわち抹殺する以外仕方のないーーほどに都合の悪い出来事だったからである。

 

 

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