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ルールを作る欧米人とルールを守る日本人。戦争の勝敗を分けた考え方の違い

   

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アマゾンで面白そうな本を見つけた。『世界市場で勝つルールメイキング戦略 技術で勝る日本企業がなぜ負けるのか』(朝日新聞出版)である。まだ読んでいないものの、タイトル周りを見るだけでそのいわんとすることは十分にわかるし、心から納得もしてしまう。

これは経営戦略にかかわる本である。しかし、ここで言われていることは国際政治にも通じるものだ。とりわけ、「ルールメイキング戦略」という視点からみると日本がなぜ戦争に負けたのか、その理由がより鮮明にうかびあがってくる。

たとえば戦前の日本にとって岐路となった1920年代を例にとってみよう。当時の日本は中国による反日、排日活動に悩まされていた。反日、排日活動という字面からはそのような印象はあまり受けないが実際にはテロ活動である。それは、殺人をふくむ組織的な暴力であり、現代的な意味からも十分そういえるだけの「立派な」テロ行為であった。中国在住の日本人や日本企業はそうした抗日テロの矢面に立たされていたのである。

しかしパリ不戦条約などの縛りもあり、日本はそれらのテロ行為に効果的に対処することができずにいた。パリ不戦条約というのはそれが明らかな軍事的挑発でないかぎり、軍事力でもって解決することを禁じた条約である。

もちろん当時の日本は外交ルートなどを通して抗日テロをやめるよう何度も中国政府に対して圧力を加えていた。しかし、当時の中国は内戦中である。いくつもの政権が並立し、また現れては消えていくような状態である。当然、どれが中国を代表する正統な政府であるかもわからないし、仮に代表すると思われる政府と交渉したところで、その威光のおよぶ範囲も限られている。そのためいくら交渉したところで、また仮にその気があったにしても中国政府自身に抗日テロを根絶することは事実上不可能だったのである。

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そうかといって、日本にしてみればいつまでも一方的になぶられ続けるわけにもいかない。そこで意を決した関東軍が一気に解決を図るべく立ち上がった。それが満州事変である。ところが、裏でつるんでいた中国とアメリカはここぞとばかり、日本を徹底的に叩き始めた。「日本は国際社会のルールを守らない無法者国家である」というわけである。そうしてこの満州事変をきっかけに日中米はその後、日中戦争、太平洋戦争へとなだれこみ、その結果、日本が敗北し、中国とアメリカが勝利したことはその後の歴史がしめす通りである。

ところが、戦後、世界の警察官となったアメリカは中東などで今度は自らがテロのターゲットにされはじめた。しかしテロ行為は法律上の軍事行動ではない。これに対して軍事力を行使して解決をはかることは条約違反になってしまう。かつて日本を非難するための口実に使った不戦条約が今度はアメリカ自身を縛る足かせとなってしまったわけである。

そこでアメリカはどうしたか?

「低強度紛争」という概念を持ち出したのである。「テロというのは低強度なだけで、実質的な軍事行動である」というわけである。いうまでもなくこれは対テロ戦争を正当化するためのこじつけにすぎない。これこそまさしくアメリカお得意のルールメイキング戦略というものであろう。

かくしてアメリカは、自分に都合の良い解釈でもって対テロ戦争を強行していったのである。ここにあるのは「俺さまがルールだ」という傲慢さ以外のなにものでもない。

キリスト教徒である欧米人はこの世界のルールは自らが自由に変えていいし、変えることが神の意にもかなっていると考える傾向があるようだ。そのあたり、ルールは絶対的なものであり、悪法も法として遵守するのが当然と考える日本人とは違うところかもしれない。

欧米人の思考の裏にこうしたルールメイキング戦略があることについては日本人もそろそろきちんと認識すべきだ。そうでないと、日本はこれからも欧米からいいように振り回されてしまうだろう。

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 - 歴史戦, 連合国