安倍晋三首相の真珠湾訪問に合わせ、オリバー・ストーン監督をはじめ日米の歴史学者ら約50人が首相の歴史認識を問いただす公開質問状を発表したらしい。
安倍首相へオリバー・ストーン監督ら公開質問状「日本が攻撃したのは真珠湾だけではない」【全文】
まあた始まった、としかいいようがない。
本来そうすべきでない政治と歴史を意図的にからめているのはいったいどちらなのか?
歴史は歴史家が自由な立場で判断するものである。政治的な思惑がからんだらそこにはもはや学問の自由はありえない。
民主と自由を謳うはずの彼らにはなぜこの基本的なことが理解できないのだろうか?
ともあれ以下、ひとつひとつ反論していく。
ーーその日に日本が攻撃した場所は真珠湾だけではありませんでした。その約1時間前には日本陸軍はマレー半島の北東沿岸を攻撃、同日にはアジア太平洋地域の他の幾つかの英米の植民地や基地を攻撃しています。
はい、そうです。攻撃したのは英米の植民地です。ところでその昔、英米がそこを植民地とした際、あなたがたは一切武力を使わなかったのでしょうか?
ーー日本は、中国に対する侵略戦争を続行するために不可欠な石油や他の資源を東南アジアに求めてこれらの攻撃を開始したのです。
まず当時の日本は石油や鉄等の戦略物資の8割を米国から輸入していました。米国がその輸出を禁じたからやむをえずそうしたのです。
次に「中国に対する侵略戦争」ということですが、なぜそのようなでたらめをいうのでしょうか? 日本になぜ中国を侵略する必要があったのでしょうか? なにを目的に「侵略」したのですか? 日本は中国に対して一度でも領土的要求を出したことがありますか?
満洲はもともと中国ではありませんので、ここでは触れません。
資源? いまみたように戦略物資の8割は米国から輸入していたのですが‥。
また日中戦争の前後、侵略戦争がしたくてたまらなかったはずの日本側が何度も和平交渉を試みたのはなぜですか?
その度に中国側が拒否したのはなぜですか? いったいどちらが戦争を望んでいたのですか?
それに日中戦争の発端となった盧溝橋事件の謎の発砲事件を引き起こしたのが中国共産党だったという公然の秘密はご存知ありませんか?
それから国際法を無視して日本を挑発したのは中国側です。南シナ海や尖閣諸島をめぐるいまの中国の無法ぶりをみてください。当時もまったく同じことをやっていたのです。
そもそもなぜ日本軍が中国に駐屯していたのかご存知ありませんか?
居留民保護と治安維持のためです。つまりいまでいう平和維持活動だったのです。
義和団事件をお忘れですか?
当時の中国は治安維持能力を失った完全な崩壊国家でした。ちょうどいまのシリアや一時期のソマリアと同じです。
中国は義和団事件以後、辛亥革命を経てもなお混乱がやむことはありませんでした。

漫画 日中戦争は中国共産党が仕掛けた謀略だった!
その後、軍閥割拠状態に陥った中国は日々内戦に明け暮れていました。当然ながら治安もなにもあったものではありません。その混乱ぶりはいまのシリア以上といってよいでしょう(ちょうど当時の中国共産党はいまのイスラム国に相当します)。
そのなかの一部の武装勢力が引き起こしたあからさまな挑発および武力攻撃に対して、いかなる反撃もしてはならないというのでしょうか? 日本はすでにそうしたあからさまな挑発行動に対して10年以上も隠忍自重していたんですよ。
しかもそうした中国の挑発行動の裏に米国がいたことはいまや周知の事実です。
ーーあなたは、連合国およびアジア太平洋諸国に対する戦争と、すでに続行していた対中戦争を侵略戦争とは認めないということでしょうか。
それではあなたがたはアジアアフリカ諸国に対する植民地争奪戦争を侵略戦争とは認めないということでしょうか? イラクやアフガニスタン、シリアなどへの欧米の武力介入は侵略戦争とは認めないということでしょうか?
ーーあなたは、真珠湾攻撃で亡くなった約2400人の米国人の「慰霊」のために訪問するということです。それなら、中国や、朝鮮半島、他のアジア太平洋諸国、他の連合国における数千万にも上る戦争被害者の「慰霊」にも行く予定はありますか。
その数千万人にも上る戦争被害者はすべて日本軍のせいですか? あなたがた連合軍には一切責任がないということですか?
また日本が勝手に戦争を始めたというのであれば、いつ開戦するかの主導権を握っていたのは日本であるはずです。であれば、勝利を確実にするためもっと力を蓄えてからそうすべきだったと思うのですが、どうしてそうしなかったのですか?
そもそも日本が戦争を始めたのが悪いというのなら、当時の日本に他にどのような選択肢があったのですか?
小日本主義のような現実から遊離した理想論でも、またその場しのぎの弥縫策でもなく、長期にわたって日本の安全が担保されるような選択肢がもしあったのであれば、教えてください。日本は反省すべしといいますが、代替案もないのにどうやって反省すればよいのでしょうか?
ーー首相としてあなたは、憲法9条を再解釈あるいは改定して自衛隊に海外のどこでも戦争ができるようにすることを推進してきました。これがアジア太平洋戦争において日本に被害を受けた国々にどのような合図として映るのか、考えてみてください。
戦争の原因をすべて日本とドイツのせいにして、あなたがた自身の責任にほおかむりを続けた結果、世界はどんな状況になりましたか? 戦争の原因である日本とドイツを黙らせれば世界は平和になるはずだったのではないですか? にもかかわらずいまもなお戦火がやまないのはなぜですか? 紛争が絶えないのはなぜですか? 巨大な災厄をこの世界にもたらし続けてきたあなたがたの偽善が、いまもなお戦乱と圧政、そして経済的な困窮に苦しむ人々にどのようなものとして映るのか、考えてみてください。
白人国家は数百年もの間、アジア・アフリカの人々を残虐な植民地支配のもとに置いていました。その白人がどの面を下げてアジア・アフリカの人々と一緒に日本を非難する側に回っているのでしょうか? 鉄面皮とはまさにこのことです。同時にアジア・アフリカの人々にも問いただしたい。死を賭して独立運動を戦ってきたご先祖様に対してあなたがたはそれで何ら恥じるところはないのか、と。
sponsored ads